研究概要 |
誤嚥性肺炎のモデルをウサギにて作成し、その初期病態の解明を目的とする。ウサギの右肺にpH1.25,vol.1.2ml/kgの塩酸を注入し、血液のTNF-alphaと好中球のH202の産生を8時間経時的に、また8時間後の肺胞洗浄液(BALF)中のTNF-alphaを調べた。またこれらに対する、ペントキシフィリン(PTX)(20mg/kgi.v+6mg/kgd.i.v)の前投与の効果について調べた。TNF-alphaの測定はbioassay、好中球のH202の産生はDCFHをflowcytometerにて測定した。18羽のウサギを3群に分けた。コントロール群では、塩酸の代わりにPBSを同量肺に注入した。第2群は、塩酸投与群とした。第3群では、PTX前投与後塩酸を投与した。肺への塩酸注入1時間後には全例に、2時間後には6例中4例で血清中のTNF-alpha活性化が認められた。塩酸注入肺のBALFでは4/6、対側肺で2/6にTNF-alpha活性化が認められた。好中球のH_2O_2はの産生は塩酸注入後2時間で増加し、4時間までコントロールより有意に高値を示した。PTXの前投与は、TNF-alpha活性化、好中球のH_2O_2の産生の増加を抑制した。PTXの前投与は、塩酸注入による対側肺、小腸の水分量増加、好中球の集積を抑制した。PTXはTNF-alpha活性化、好中球のH_2O_2の産生の増加を抑制し、その結果二次性の臓器障害の発生を抑制したと推察される。
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