研究概要 |
婦人科腫瘍における発癌メカニズムを解明する目的で、まずras癌遺伝子についてp21に対するモノクローナール抗体を用いた免疫組織学的な検索を子宮体癌組織を用いてその組織型、予後との関係を明らかにし発表した。、また卵巣癌を用いての検討では癌抑制遺伝子p53のPCRを用いたLOH(loss of heterozygosity)の検討では卵巣癌の約40%にその異常が見いだされその発癌過程への関与を発表した。さらに子宮体癌、卵巣癌での癌抑制遺伝子Rb,DCC,APCのPCRを用いたLOHの解析を行い子宮体癌ではRB遺伝子では約30%、、DCC遺伝子では約30%、APC遺伝子では0%のLOHを見いだしており、さらに卵巣癌ではRb遺伝子では約25%,DCC遺伝子では約15%、APC遺伝子では0%の異常を見いだした。現在はLOHの見られた各々の遺伝子についてさらに詳細に検討するためにホルマリン組織からDNAを抽出し、各々の遺伝子の全coding,region についてPCR(polymerase chain reaction)にて増幅後、SSCP(single stranded conformational plymorphism)法を用いて遺伝子の点突然変異といった異常を検索中である。実際その様な解析により、卵巣癌細胞株のいくつかにRb遺伝子の異常を見いだした。例えばCaov-3株ではRbmRNAの発現は確認できず、それはRb遺伝子のpromotor領域の異常が原因であることを見いだした。さらにCaov-4株ではcodon123がAsn.からAsp.へのアミノ酸の置換の原因となるような点突然変異がみられた。
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