[目的]顆粒膜細胞に由来するestrogenは卵に対して成熟促進作用が知られているが、顆粒膜細胞自体に対しても我々が既に報告したようにepidermal growth factor(EGF)receptorの調節などautocrine的機序での生理作用が注目されている。そこで今回estrogenがラット顆粒膜細胞の増殖に及ぼす影響をEGFとの関連において検討した。[方法]Wistar系幼若雌ラットにPMSG101Uを皮下注し、48h後に顆粒膜細胞を採取してphenol red(P)(-)Medium199中に単層培養した。24hの前培養後、実験計画に従い各種試薬を添加しさらに24〜36hの培養を継続した後に^3H-thymidine(1uCi/ml)を加えてその後の24時間に取り込まれた^3H-thymidineの酸不溶性分画量を測定しDNA合成量とした。なおPにはestrogen作用があることが知られており前培養以降はP(-)と(+)の双方の条件下で実験を行った。[成績](1)estradiol(E_2)はP(-)培養液中では単独で10^<-11>〜10^<-6>の濃度範囲で用量依存性にDNA合成を促進し、10^<-8>Mで対照の約1.7倍になった。(2)P(+)ではP(-)の約1.5倍にDNA合成量を促進した。(3)E_210^<-8>MはP(+)培地内ではP(+)対照に対し増殖効果を発現しなかった。(4)P(-)培養液中でEGFはDNA合成促進効果を認めなかった。しかし、前培養後E_210^<-8>M存在下でさらに12h培養してEGFを添加するとP(-)E_2(-)でもEGFはDNA合成量を対照の約200%に増量させた。(5)P(+)ではEGFは用量反応的にDNA合成量を増量したが、E_2添加によっても増加率は不変であった。[結論]estrogenはラット顆粒膜細胞の増殖に対し促進的に作用する。また単独ではDNA合成に影響を与えないEGFに対してもestrogenはpermissiveに作用する。これは前述の我々の報告を併せるとestrogenよるEGF受容体数増加に基づいている可能性が示唆された。
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