研究概要 |
1.3-6週令の雌マウスに妊馬血清ゴナドトロピン(PMSG)を腹腔内に投与し、投与後、経時的(12,24,36,48時間)に開腹し、卵胞より卵を採取した。顆粒膜細胞を除去後、各群5個に卵より総RNAをグアニジン-塩酸法により抽出した。48時間後にヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を投与し、排卵後卵管内より得られた卵に対しても、同様に処理した。 2.抽出されたRNAを逆転写酵素(RT)を用い二本鎖DNAに転換した。既に報告されているマウスc-mos遺伝子の塩基配列に対するプライマーを用い、DNA増幅装置によるRT-PCRを行い、c-mos DNAの一部を増幅した。同時にbeta-アクチンmRNAも同様に増幅し、対照とした。アガロース電気泳動法により増幅されたDNAを分離し、デンシトメーターを用い各々のバンドの濃度を測定した。beta-アクチン量を基準にc-mos遺伝子の発現量を定量化した。 3.その結果、PMSG投与によりマウス卵におけるc-mos mRNAは経時的に増加し、PMSG投与後、36時間で頂値を示した。排卵後の卵では急速にc-mos遺伝子の発現が低下した。すなわち、PMSGがマウスではin vivoにおいて遺伝子の発現を刺激し、排卵後は減少することが示唆された。 4.上記のRT-PCR法による定量化の信頼性を検討するため、PMSG投与後経時的に収集した各群約500個の卵より総RNAを抽出し、アガロース電気泳動を行った。これをニトロセルロース膜にノーザン・ブロット法により転写し、アイソトープにて標識したc-mosおよびbeta-アクチンcDNAを用いてハイブリダイゼーションした。その結果、上記のRT-PCR法と同様の、PMSGによるc-mos mRNA量の変化が観察された。以上の結果より、RT-PCR法による定量化はノーザン・トランスファーによる定量化と同等の定量性が得られることが明かとなった。
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