研究概要 |
1.細胞局在の解析:免疫源細胞株CAC-1を培養し、抗子宮頚部線癌抗体1C5を一次抗体として、二次抗体に10nm金コロイド結合抗マウス抗体を使用したポストエンベッディング法による免疫電顕で観察した。1C5認識抗原は細胞内の膜構造で囲まれた細胞小器官内に局在しているのが、観察された。この顆粒が分泌顆粒かライソゾームなのかは不明であり、今後ゲル内培養による3次構造形成した細胞株および実際の症例を免疫電顕で検討し、抗原の超微形態学的局在を解析し、さらにその細胞内機能を解析していく予定である。 2.認識抗原の生化学的解析:1C5はbeta-カゼインの1-28番のアミノ酸と共通抗原決定基を有する事が判明した。今後はアミノ酸の範囲をさらに限定していく予定である。 3.細胞診断への応用:ビオチン化した1C5を一次抗体に用い、それにアビジン-ビオチン複合体を反応させ、DABで発色させる方法で非特異的反応を減少させる事が判明した。今後実際の症例で広く検討を加えていき、簡易キットを作製する予定である。 血清診断への応用:共通抗原を持つbeta-カゼインをウサギに免役し、ポリクローナル抗体を作製した。今後この抗体の特性を検討し、1C5とのサンドイッチ法によるELISAの系を確立していく予定である。 5.組織診断への有用性について:子宮頚部線癌の上皮内癌に対する反応性をCA199,CEAなどの抗体と比較検討した。症例数は少ないが6例中5例が陽性と言う高い反応性を示した。 上記の3及び5の内容について、第34回日本臨床細胞学会総会シンポジウムで報告した。今後は上記の検討を行い、臨床での新たな腫瘍マーカーの確立を試みる。
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