研究概要 |
子宮収縮物質であるカテコラミン(CA)は分娩前期及び胎児ストレスで、羊水中において増加する。そこで、羊水中CAの主要代謝臓器である卵膜においてmomoamine oxidase(MAO)活性を測定し、陣痛発来とCAの関わりについて検討した。 以下、今までに示された結果である。 1:卵膜MAO活性は、MAO‐A,‐Bとも脱落膜に強く認められた。 2:脱落膜はMAO‐A活性優位であるが、胎盤と異なりMAO‐B活性にも相応の活性を認めた。 3:選択帝切群(CS)に比し、陣痛未発来胎児仮死群(FD)、正常経膣分娩群(ND)で脱落膜MAO‐A,MAO‐B活性はとも有意に高値を示した(p<0.05)。 4:羊水中ノルエピネフリン(NE)、エピネフリン(E)濃度はCSに比し、FD,NDで有意に高値を示した。 5:羊水中NE濃度と脱落膜MAO‐A活性は有意な相関を示した(p<0.05)。 6:CAの卵膜透過実験ではNE,Eとも約10%程度の移行が認められ、現在、検討中である。 以上より、卵膜は、CA代謝の側面から、妊娠中、母児の恒常性維持のため重要な役割を担っていると考えられる。また、この機構の破綻と陣痛発来との関与についても今後更に検討を加える予定である。
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