研究概要 |
まず最初に脳内Platelet Activating Factor(PAF)受容体の測定方法について検討した。基礎的検討として6週齢のラット全脳を用いて従来用いている脳内PG E_2のレセプターアッセ-と同様のサンプル調整(P2画分)、反応条件で〔^3H〕WEB2086 20nM(最終濃度)、cold 20microM(最終濃度)で測定したが、特異的結合は認められなかった。そのため種々反応条件を変えて検討した。その結果25℃、120分の反応条件で5週齢ラット全脳で9.1fmoles/mg蛋白の特異的結合が認められた。そこで胎齢18日、日齢1、日齢4、日齢7のラット全脳について同様の条件で検討したが、日齢1で8.0fmoles/mg蛋白、日齢4では15.2fmoles/mg蛋白、と増加傾向を認めたが、胎齢18日、日齢7では安定した成績が得られなかった。特に胎齢18日ではP2画分は極めて微量であったためと考えられた。以上より全脳を用いた検討でPAF受容体は、PGE_2受容体と同様に生後増加し、その後成熟過程で減少するものと考えられた。さらに6週齢のラット脳を大脳、小脳、脳幹部の3つに部位分けしPAF受容体の分布について基礎的な検討を行った。total bound,nonspecific boundは脳幹部で高値を示したが、特異的結合は認められなかった。また大脳、小脳においても特異的結合は認められなかった。PAF受容体の測定上の問題点としてPGE_2、PGD_2と比べて安定した値を得ることが困難であり、検討を要するものと考える。
|