研究概要 |
ダニ鼻アレルギー患者及び、健常対照者よりコナヒョウヒダニ特異的T細胞クローンを樹立しin vitroに於るIgE生産系を確立すると共に、IgEクラスの免疫応答に関与するT細胞の特徴、特にそのT細胞レセプターのgene usageに偏寄りが見られるか否か検討を加えた。 即ち先ず、T細胞クローンと自己B細胞抗原提示細胞抗原とを混合培養し、培養上清と全細胞を回収した。全細胞からtotal RNAを抽出し,IgE生産の有無を検討するために、CHepsilon2ドメイン内のユニークな塩基配列に相補的な合成核酸を作成し、Dat blat hybridigationを行いIgE生産を確認した更にそれがダニ抗原特異的であることを証明するために、ダニ抗原、抗ヒトIgE抗体を用いてELISAを行い各上清中のダニ抗原特異的IgE抗体の存在を明らかにした。 しかし、同時にIgGのCHgamma1ドメイン内の塩基配列に相補的な合成核酸を用いたIgGmRNAの検索を行うと、同一のクローンが同時にIgGクラスの免疫応答も促し得る事が明らかになった。 即ち、IgEクラスの応答に選択的に関与しているT細胞クローンは存在していなかった。 又、以上の結果は患者より得られたT細胞クローンのみならず健常対照者より得られたクローンに関しても同様であった。 次いでT細胞クローンのT細胞レセプターのV gene usageを検討した。 患者、健常対照者の両ドナーは血清学的なHLAのタイピングでは抗原性を全く共有していない。 各クローンより得たtotal RNAをもとに RT-PCR法を行い、Valpha,Vbetafamilyの検索を行うとドナーの由来に関わらず、Vbeta6,Valpha8subfamilyの使用頻度が高かった。 上記の結果を踏まえ、in vitroに於るT細胞の局在について現在検討を加えている所である。 又、数年来、我々が報告しているダニ鼻アレルギー発病因子の一つであるHLA抗原中のDQw9抗原と上記、V gene family及び 抗原上のT細胞エピトープとの間に具体的にどの様な相関が見られるのか検索を進めて行く予定である。
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