1: 北里大学病院病理部より供出された剖検例の喉頭うち、明らかな喉頭疾患の無いもの選び20歳代から70歳代の男女各4〜5例を集めることができた。 2. 喉頭の形態、特に喉頭室の形態さらに仮声帯の組織学的な形態につき年齢変化を中心に観察した。(これまでの結果については、一部を第45回気管食道科学会総会(佐賀:93年10月)にて口演発表した。) これにより、喉頭(仮声帯)の部位の違いによる扁平上皮化生の出現範囲や化生のパターンをいくつかに分類することかできた。 3: 仮声帯の扁平上皮化生については20歳代からその出現を認め、年齢と共にその出現率も増加していたが60歳以後減少の傾向がみられた。また仮声帯を前方から4等分し、そのうちの3カ所について観察したが中央部分での化生範囲の広がりがみられた。(これまでの研究結果の一部は、第2回国際喉頭ガン学会(オーストラリア:94年2月)においても口演する。) 4: 喉頭室の上皮下にリンパ組織が出現していることが確認できた。(当教室の長年の研究業績の一つとして年齢変化に対する研究が一貫したテーマで行われている。これまでに口蓋扁桃・舌扁桃における年齢変化を研究報告してきたが、さらに喉頭のリンパ装置についても免疫組織学的な手法を用いて年齢変化を研究することができるのではないかと考えている。これにより喉頭癌の発生母地としての扁平上皮化生と喉頭の局所における免疫機能の関連を追及することを今後の研究主題の一つとしたいと考えている。)
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