房水流出抵抗は、線維柱組織の細胞外基質(蛋白質や糖蛋白複合体)に存在すると考えられている。しかし、緑内障眼において変化する細胞外基質については不明な点が多く、細胞外基質成分と構造との関係を抗体とレクチンで同定する事を研究目的とした。 手術的に切除した緑内障眼の線維柱組織および実験動物において作製した緑内障モデル眼の線維柱組織の細胞外基質の局在を、レクチン及び免疫組織化学的に比較検討する事により、緑内障眼における細胞外基質の動態を検証した。 1.緑内障眼における免疫組織電顕 手術的に摘出された各種緑内障眼の線維柱組織をロビクリルK4Mにて包埋、超薄切片を作製し、各種レクチン及び各種抗体で染色後、金コロイド標識し、透過電顕にて基質成分と超微形態を関連づけて観察した。その結果、先天性及び若年性緑内障眼の線維柱組織の細胞外基質にシアル酸を含む糖蛋白(特にファイブロネクチン)の増加が観察された。また、原発性開放隅角緑内障眼の線維柱組織の細胞外基質にエラスチンの増加が観察された。 2.実験モデル眼における免疫組織電顕 ステロイド剤投与によって作成した実験動物の緑内障モデル眼を用いて線維柱組織を免疫組織電顕にて観察した。今回、ミニブタにステロイド点眼を行い、線維柱組織を免疫組織電顕にて観察したところ細胞外基質に数種の糖蛋白の増加が観察された。
|