糖尿病網膜症に対する硝子体手術時に得られた硝子体液を用いてTGF betaの存在をウエスタンブロット法にて確認した。得られた検体を酸性で処理し活性化させた後、リンパ球を用いた培養実験を行いその免疫抑制効果を調べたところ、免疫抑制作用が確認された。免疫抑制物質として眼内には少なくとも2種類存在している。以前に行った実験から、その1つは分子量3000以下の比較的小さい物質でもう1つはTGF betaに相当するものと考えられる。今回の結果より免疫抑制物質として硝子体内にTGF betaが存在していることが推察された。しかし、病期とTGF betaの間の相関は不明で、検体数が少なく今後さらに検討する必要がある。 子牛網膜より網膜血管を酵素処理及びナイロンメッシュを用いてふるい分けをし、単離し培養した。この培養により網膜血管内皮細胞と網膜血管ペリサイトが培養された。内皮細胞の指標としてファクターVIIIを用い、ペリサイトと区別した。さらに、内皮細胞増殖因子を用いることにより、内皮細胞の選択的増殖が可能となった。 現在、さらに基礎実験を重ねているが、今後この培養細胞に対する、手術時に得られた硝子体液の影響を検討する必要がある。
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