研究概要 |
実施計画は、In situ hybridization法を用いてマウス歯胚初期形成時の各種レチノイドレセプター(RAR-alpha,betaおよびgamma)の分布を明らかにし、レチノイン酸の分布と歯胚の初期発生との関連を明らかにすることにあった。 マウス胚(11.5〜14.5日齢)を取り出し、固定、脱水後、パラフィン包埋を行い、5mum厚の連続切片を作製した。さらに各日齢についてヘマトキシリン・エオジン染色を施し、歯胚の形成段階を確認した。プラスミドの組み込まれていた各レチノイドレセプターのDNA断片を制限酵素を用いて切断し、RNAポリメラーゼを用いてアンチセンスRNAプローブを調整した。得られたRNAプローブを長さが約150塩基となるようにアルカリ加水分解した後、ジゴキシゲニンにて標識した。脱パラフィン後、前処置を施した切片上にて、RNAプローブを用いてハイブリダイゼーションさせた。洗浄後、抗体反応と酵素的染色を行い、得られたシグナルを観察した。その結果、特異的なシグナルであることの同定が非常に難しく、レチノイドレセプターの分布と歯胚の形成との関連を明確にするには、ハイブリダイゼーションの工程についてさらに検討を加える必要性があると判断した。 組織切片上でハイブリダイゼーションを行いRNAを検出する手法は、形態学的研究を行うにあたってきわめて有効な方法である。本年度の研究により、RNAプローブを用いたIn situ hybridization法の一連の工程を習得することができた。補助金によって購入した試薬、実験器具は、形態学の手法に加えて分子生物学的な手法を導入するために必要不可欠だった。今後、手法を再検討しマウス初期歯胚におけるレチノイドレセプターの分布を明確にするとともに、超微細構造との関連についても検索を進めていきたいと考えている。
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