研究課題
申請者らによってクローニングされ“r1(2.1a)と名付けられたcDNAは、鶏胚心臓の形態形成において重要な役割を果たす組織間相互作用関連分子をコードしていると考えられる。本研究では、このr1 cDNAの一部852bpをSmaIおよびHincII sitesでクローニングベクターより切り出し、pGex-2T発現ベクターのSmaI siteにreading frameが合うように組み込んだ。これによってXL1-blueをトランスフォームし、1mM IPTGによる誘導によりglutathione S-transferase(GST)とr1蛋白の融合蛋白を発現させた。グルタチオンアフィニティーカラムによって融合蛋白を精製し、さらにトロンビン処理を行いGST部分とr1蛋白部分を解離させ、再度同アフィニティーカラムを通すことによってr1蛋白を得た。濃縮後のr1蛋白を抗原として家兎を免疫した。抗血清はprotein Gおよびr1蛋白固定化カラムを用いそれぞれIgG画分とリガンドアフィニティー精製抗体とした。得られた抗体を用いてのWestern blot解析の結果、r1のcognate蛋白が130kDaであること、および、in vitroでの心臓内皮・間葉トランスフォーメーション誘導活性のある心臓細胞培養上清中にr1蛋白が存在することが明らかになった。また、発生ステージ13・24の鶏胚未固定凍結切片上での蛍光抗体法によって、r1蛋白が鶏胚心臓の内皮・間葉トランスフォーメーションとほぼ同期して発現していること、および、組織間相互作用が活発であるとされる幾つかの部位(例えば、神経管floor plateと脊索)に発現していることが明らかになった。これらの成果の一部は、本報告書別項に記載したとおり、学術雑誌に論文報告を行った。また、他の一部については、現在、より詳細な検討を継続しており近く報告を行う予定である。
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