研究概要 |
本研究計画の目的は成長軟骨細胞におけるインテグリンの発現と機能について探索することであった。 1)インテグリンの発現:鶏胚軟骨細胞はbeta1,alpha3,alpha5およびもう一種類のalphaサブユニット(おそらくalpha2)を発現しているが、alpha1,alphavおよびalpha6のサブユニットの発現は探知不可能なレベルであることが判明した。(Exp.Cell Res.205,276-285(1993)、第11回日本骨代謝学会総会にて発表)。さらに、ウサギ成長軟骨細胞においてはbeta1,alpha3,alpha5およびalphavが発現していることが明らかになった(第7回軟骨代謝研究会にて発表)。2)インテグリンの機能:鶏胚軟骨細胞において、フィブロネクチン、I型コラーゲンおよびII型コラーゲン基質への接着がbeta1インテグリンに依存していることを抗beta1抗体を用いた接着実験により明らかにした。次いで、各々の基質に接着している軟骨細胞におけるインテグリンを免疫組織学的に観察した結果、フィブロネクチン気質においては alpha5beta1インテグリンが、I型コラーゲンおよびII型コラーゲン基質においてはalpha5およびbeta3とは違うalphaサブユニット(未同定)が細胞接着斑を構成し、基質受容体として機能していることを明らかにした。また、軟骨細胞の形態変化および細胞凝集においてもbeta1インテグリングループが深く関与していることも明らかにした(Exp.Cell Res. 205,276-285(1993)、第11回日本骨代謝学会総会にて発表)。さらに、ウサギ成長軟骨細胞の細胞接着および伸展は通常、 alpha5beta1インテグリンを介するフィブロネクチン基質に依存していることを抗alpha5beta1抗体を用いた実験により明らかにした。以上のごとく、本研究の目的および計画に対応した成果がほぼおさめられたといえる。I型およびII型コラーゲンに対する受容体は利用できる抗体がないので結論付けることはできないが、alpha2beta1である可能性が強いが今後検討しなければならい。
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