口腔癌患者に対する養子免疫療法の治療効果の発現には、細胞障害活性の高い細胞を腫瘍組織に集積させることが重要であると考えられる。今回の研究では、LAK細胞の細胞障害活性および腫瘍集積性を増強させることを目的として、培養初期のOK432の添加、およびCDDPあるいはIFN-gammaで処理された標的腫瘍細胞の培養上清が細胞障害活性および細胞走化能に及ぼす影響について検討した。 (方法)手術切除標本の頚部リンパ節を鋏で細切し、ナイロンメッシュ通過後、比重勾配遠心分離で得られた単核細胞層を回収し、リンパ球を分離した。リンパ球の培養は、5%新鮮凍結血漿を含むHyMedium910培養液を使用し、10mug/mlの抗CD3抗体をコーティングしたプレートあるいはフラスコ中で、70OJRU/mlのIL-2存在下で行い、LAK細胞を誘導した。培養初期に0.05KE/mlのOK432を添加し、細胞障害活性および細胞走化能を比較検討した。細胞障害活性の測定は、4時間の^<51>Cr遊離試験法で行い、標的細胞として舌扁平上皮癌由来細胞株であるNAを用いた。細胞走化能は、ケモタキシスチャンバーを使用し、8mumポアサイズのメンブランフィルターを用い、2時間の培養で測定した。細胞走化因子として、IFN-gamma、およびCDDPあるいはIFN-gammaで処理されたNAの培養上清を用いた。培養終了後、フィルター表面に付着している遊走細胞をヘマトキシリン染色液で核染色を行い検鏡した。 (結果)OK432の添加培養により、LAK細胞の細胞障害活性の増強が認められ、同時に細胞走化能の増強も認められた。また、腫瘍細胞(NA)培養上清はLAK細胞の細胞走化能を抑制したが、CDDPあるいはIFN-gammaで処理されたNAの培養上清では、その抑制は軽度であり、LAK細胞の走化能が維持されうる可能性が示唆された。
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