最近歯科界では新しい材料として、生体親和性が良く、優れて耐久性、適度な機械的強さを有してるチタンが注目を集めている。本研究ではこのチタンの優れた生体親和性に着目し、チタンを粘膜接触型ポンティックの基底面に使用した場合の歯槽堤粘膜に及ぼす影響について、白金加金合金、金銀パラジウム合金、艶焼き陶材を使用した場合と比較検討を行った。 ポンティック基底面に異なった材質を使用し、歯槽堤粘膜に及ぼす影響を比較検討するには、基底面材質以外の条件を極力そろえる必要がある。そこで本実験では同一被験者にポンティック基底面材質が異なったブリッジを装着した。ブリッジの装着期間は30日とし、一つの実験用ブリッジ装着終了から次の実験用ブリッジ装着の間には14日以上の粘膜休息期間をおいた。 実験期間が最短で延べ180日に及ぶため、現時点ではデータが出揃っていないが、概ね以下の結果を示した。 1.ポンティック直下歯槽堤粘膜の剥離細胞表面構造(Microridge)にはチタンポンティックと他の材質のポンティックでそれほど大きな違いは認められなかった。 2.口腔生体顕微鏡による上皮下毛細血管の観察では、チタンポンティックは金銀パラジウム合金ポンティックに較べ毛細血管の拡張の程度は低かった。他の材質との比較ではそれほど大きな違いは認められなかった。 染色上皮細胞の観察では、チタンポンティックは金銀パラジウム合金ポンティックに較べ上皮細胞の形態の不明瞭化、排列の乱れの程度が低かった。他の材質との比較ではそれほど大きな違いは認められなかった。 今後さらに実験を進めて行く所存である。
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