研究概要 |
3-7歳の小児7名の平滑面,裂溝部位(のべ11部位)から歯垢をReduced Transport Fluid中に採取し、できるだけ早く嫌気グローブボックスに入れ、超音波ホモジナイザーで懸濁、ホモジナイズした。段階希釈後、pH指示薬としてブロモクレゾールパープルを添加した1%各種糖(ソルビトール,マルチトール,パラチノース)を含む寒天培地(2%Proteose Peptone,0.5%Yeast Extract,0.5%NaCl,0.1%Na_2HPO_4,pH7.6;Hardie and Bowden,1976,以下Sugar Agarと記す)にうえた。嫌気下,37℃で、培養後,糖分解に伴うpH低下により、周囲の色調を変化させたコロニーを分離した。分離株は、それぞれSugar Agarと同じ組成の液体培地(0.5%グルコースを含む)中で前培養後、1%各種糖を含む同液体培地で培養し、培地のpHを測定した。 ソルビトール代謝菌は、11サンプルすべてから分離された。液体培地でのpHは、糖を含まない場合が、6.2-6.6なのに対し、ソルビトール添加培地では4.3-5.1であった。パラチノ-ズ代謝菌は10サンプルから分離されたが、液体培地でのpHは、4.3-5.9で,pHが5.5以上の酸産生性の弱い株がかなりあった。また、寒天培地上でpH低下により黄変したコロニー数を比較すると、すべてのサンプルでパラチノースSugar Agarより、ソルビトールSugar Agarの方が多かった。マルチトール代謝菌は、2サンプルのみから分離され、液体培地でのpHは4.6-4.9であった。ソルビトール代謝株はグラム陽性連鎖球菌が多く、他に、グラム陽性桿菌もあった。パラチノース代謝株は,グラム陰性桿菌,グラム陽性桿菌,グラム陽性連鎖球菌であり,マルチトール代謝株は、グラム陰性桿菌,グラム陽性桿菌であった。pHを5.0以下に低下させた菌株については、現在菌種の同定を行っている最中である。
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