1.ホールセルクランプ法による新しい細胞内情報伝達経路の解析 保持電位-50mVで電位固定を行い、カメ嗅細胞に1mMcAMPをパッチペットより投与し、生じたcAMP依存性電流が順応した後、匂い刺激を行ったところ、cAMPを含まないピペットで測定された応答と同じくらいの大きさの内向き電流を記録した。この結果は、cAMPを介さない経路で匂い応答が発生することを、細胞レベルで証明した最初のものである。 各種チャネル阻害剤のcAMP非依存性経路を介した匂い応答への効果 細胞内情報伝達に関与していると推測されている経路の、嗅球応答への関与を調べた。まず、Ca依存性Clチャネルの阻害剤であるSITSは、cAMP非依存性応答を全く阻害しなかった。また、嗅粘液中のC1を除去しても応答の顕著な増強が見られなかった。また、IP_3依存性チヤネルの阻害剤として知られるルテニュウムレッドを与えたところ、cAMP非依存性応答には効果が見られなかった。本研究の結果から、cAMP非依存性経路には、Ca依存性ClチャネルおよびIP_3チヤネルは関与していないことが示唆された。
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