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1993 年度 実績報告書

疼痛制御におけるL-アルギニンの役割:NO系とキョ-トルフィン系の関与

研究課題

研究課題/領域番号 05772045
研究機関近畿大学

研究代表者

川畑 篤史  近畿大学, 薬学部, 助手 (20177728)

キーワードL‐arginine / nitric oxide / NO / kyotorphin / cyclic GMP / pain / antinociception / nociception
研究概要

1.脳内での疼痛制御におけるL‐arginineの役割
一酸化窒素(NO)は,L‐arginine(L‐Arg)からNO合成酵素(NOS)により生成され,soluble guanylate cyclase (sGC)を活性化して細胞内cyclic GMP(cGMP)濃度を上昇させることによりその生理作用を発現する.一方,内因性鎮痛ペプチドkyotorphin(L‐tyrosyl‐L‐arginine,以下KTP)は,脳内でKTP合成酵素(KTP‐S)によってL‐ArgとL‐tyrosineから生合成され,Met‐enkephalin(Met‐Enk)の遊離を促進させることにより生理作用を発現する.著者らはL‐ArgがNOSおよびKTP‐Sの両酵素の基質である点に注目し,脳内での疼痛制御における役割を検討した.L‐Arg,NOS阻害薬およびsGC阻害薬はいずれも側脳室内投与により明らかな抗侵害作用を示した.L‐Argのこの効果はKTP‐Met‐Enk経路を促進することにより発現するのに対し,NOS阻害薬およびsGC阻害薬の効果はNO‐cGMP経路を抑制することにより発現することが明らかとなった.このことより,L‐Argは脳内で相反する2つの役割,すなわち,KTP系を介する抗侵害的な面とNO系を介する侵害的な面を有することが強く示唆された.
2.末梢での侵害受容におけるL‐arginineの役割
炎症時の侵害受容において,末梢組織中のNOが血管透過性を亢進させることにより侵害受容を促進させるとの見解と,nociceptorへの直接的な抑制作用により抗侵害的に作用するとの見解が対立した現状にある.著者らは,formalin誘発侵害反応モデルを用いてこの矛盾点の解明を試みた.その結果,末梢組織中でL‐Argより生成されるNOはその濃度に依存して侵害促進的な面と侵害抑制的な面を合わせ持つことが示唆された.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kawabata,A.et al.: "L-Arginine exerts a dual role in nociceptive processing in the brain:involvement of the kyotorphin-Met-enkephalin pathway and NO-cyclic GMP pathway" British Journal of Pharmacology. 103. 73-79 (1993)

  • [文献書誌] Kawabata,A.et al.: "Effect of topical administration of L-arginine on formalin-induced nociception in the mouse:a dual role of peripherally formed NO in pain modulation" British Journal of Pharmacology. (印刷中).

  • [文献書誌] Kawabata,A&Takagi,H.: "Nitric Oxide-Roles in Neuronal Communication and Neurotoxicity(分担執筆)" Japan Scientific Societies Press(印刷中),

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公開日: 1995-05-17   更新日: 2016-04-21  

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