筋が張力を発揮している状態で引き伸ばされる筋運動に伴って生じる筋損傷の発生きこうを検討するための動物実験のモデルを考案し、その装置を完成させた。 このシステムはラットを被験動物としており、一方の前脛骨筋に筋損傷を生じさせるモデルである。ネンブタールを用いた全身麻酔下で、左右どちらか一方の前脛骨筋の両端にワイヤー電極を装着し、電気刺激装置に接続する。電気刺激により筋硬直を生じさせ、足関節を背窟させる。この状態にある足関節をあらかじめ足部に装着したレバ-により底窟位まで強制的に伸展させるシステムである。足関節を低窟させるスピードや範囲はコントロールできるようになっている。また、その回数やセット数などの条件も設定できる。さらに、背窟力を測定できるようになっており、運動前後での筋収縮力の変化をモニターできるように工夫した。 このシステムを完成させるのに時間がかかってしまったので、このシステムを用いてのデータ収集は終えていない。現在、伸展させる速度や範囲の条件を変えて、組織学的に見られ筋損傷の程度との関係について検討している。また、このシステムにより同一固体に定期的に筋損傷を与えることができることが確認できたので、看護損後の回復過程や、損傷後さらにまた損傷を加えた場合の筋組織の変化などを明らかにしていけるものと思われる。最近、筋が張力発揮下で強制的に伸展されるいわゆるエクセントリック運動のトレーニング効果が注目されているが、本研究によって完成された実験モデルは、今後の研究に非常に有用であると思われる・早期に実験データをまとめて発表いきたいと考えている。
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