研究概要 |
本研究の目的は,妥当性及び信頼性の検討を通して,有効且つ実用的な日常の活動動作に基づく高齢者の体力診断テストを作成することであった。男子78名,女子234名の中高年者を対象として,日常の活動動作に基づく体力調査を実施した。また,妥当性を検討するために,男子3名,女子86名の中高年者を対象に体力テストを実施した。 1.理論的妥当性を検討して選択された112項目に対して,妥当性(a.検査項目が体力の個人差を反映するかについての検討,b.内的一貫性の検討)及び信頼性(再テスト法による一致率の検討)を検討した結果,筋力,瞬発力,柔軟性,平衡性,敏捷性及び心肺機能の各体力要素毎に5項目ずつの計30項目が再選択された。 2.最終的に選択された30項目について,各体力要素毎に数量化理論第I類を用いて重相関係数を算出し,選択前の重相関係数と比較した結果,選択後の重相関係数は各体力要素とも選択前のほぼ80.0%以上であった。また,最終的に選択された30項目と基礎体力得点として用いられた主成分スコアーとの重相関係数は,統計的に有意ではなかったが,0.841と高い値であった。従って,最終的に選択された30項目は,妥当性の点ではやや劣るが,実用性は非常に優れていると判断された。 3.最終的に選択された30項目について再テスト法による一致率を算出した結果,全ての項目において90.0%以上の高い一致率が認められ,最終的に選択された30項目は,非常に信頼性が高いと判断された。以上の結果をふまえて,30項目からなる日常の活動動作に基づく体力診断テストが作成され,その合計得点により体力を3段階に評価することができた。
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