研究の情報化にともない、文科系学科においても、コンピュータ言語によるプログラミング、特にC言語学習の要請が必須になりつつあるところがある。ところが、プログラミングの学習はもともと理科系の科目であるため、文科系の学生に適したテキストも教育方法も整備されていないのが現状である。この研究では、新しい教育方法として、 (1).1回完結の調理実習のスタイルを取る、 (2).フローチャートによる処理の流れを書く部分と、それをC言語の文法・用法に従ってコーディングする部分に分けさせる、(3).ポインタなどの情報の内部表現を理解しないと利用しにくい概念は最大限避けるなどを導入し、ほとんどコンピュータ初歩の学生(東京大学・文学部の3年生)に11時間講義した。 授業の前に、コンピュータやプログラミングに対する予備知識の程度を調べ、毎回の授業では課題を提出させて、学習の進度を見た。また、最後には自由なプログラミングをさせて、学習をどの程度応用できるかを調べるとともに、アンケートをとって教育方法への評価をさせた。その結果、半数程度の学生がC言語で100行程度の面接調査のプログラムが書けるようになった。また、ほとんど全員講義の形式を評価し、コンピュータに対する恐怖感を軽減したことが分かり、新しい教育方法が効果を上げていることが示された。
|