本研究は、独創的なOSの設計者を教育するための方法論を明らかにすることを目的とし、計算機科学/工学科の学生を対象としたカリキュラムと教育環境の開発を行った。内容は次のとおりである。 (1)研究室内でOSの設計・開発を指導した知見をもとに、計算機科学の学部学生全般に対してOS設計を教授するカリキュラムを作成した。 (2)申請者の設計・開発したOSであるOS/omicronを演習・実験の題材にし、設計の実際を示した。 (3)学習者の作成したOSを実行するための、計算機環境の設計と実現を行った。本研究では、仮想機械を用いた環境とツールセットを提案し、仮想機械の実現を行った。 (4)3年次・4年次対象のカリキュラムを、3年次学生と卒業研究の学生に対して適用した。 本研究により、半年間の指導でリアルタイムカーネル程度の小規模0Sの設計実現能力を、1年間でOSの研究課題を解決する能力を養うことができた。 これらの成果から、 3年次に対してOS/omicronは大規模であるため、理解を妨げる点がある。この点に関しては、教育用の小規模カーネルの設計を進めている。 学習者が実際にOSを設計・実現する実習を行うためには、理想的には一人1台という計算機環境が望ましい。 という研究課題を見いだすことができた。
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