研究概要 |
本研究では,混合割合が品質特性に与える影響を評価する実験の新しい一部実施法の構成と要因解析法を検討した。従来の研究は,応答曲面法や制約条件の取扱いに関するものが多い。本研究は,実際の工業実験では混合割合のみならず,多くの工程変数も品質に影響を与えているにも関らず,統計的検討がなされていないことに着目し,工程変数を伴う混合実験における直交表に対する因子の割り付け法,交互作用解析の方法に関する諸性質を理論的に明らかにした上で,実際に有用と考えられる方法を構成し,提案した。 まず,混合実験データの交互作用解析をマンデルモデルを用いて行なおうという新しい発想の論文,椿(1994):「3成分混合実験におけるマンデルモデルによる交互作用解析」が「応用統計学」,Vol.22,No.3に掲載予定である。 さらに,混合物の特性データに加法モデルを考えたときに,推定可能な成分について,有用な対比を用いることによって,その主効果の持つ特徴をつかむ方法についての提案を行い,現在,椿(1993):「混合実験モデルにおける各成分効果に関する有用な対比」を経営工学会誌に投稿中である。 さらに,工程変数を伴う混合実験計画を,従来行なわれてきた通り,単に応答曲面法を適用するのではなく,田口流によるロバストな実験計画を,直交実験ではない混合実験に拡張するという試みに従って,研究を行なった。これに関しては,実際に,実験も済んでおり,近々海外誌に投稿予定である。 また,線形制約のあるデータの相関についての研究も重ねてきたわけであるが,検定問題,新しい指標の構築,共に予想通り研究が進み,しかも現実の問題への適用がかなり広範囲に及ぶこともわかり,これも近々,海外誌に投稿予定である。
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