燃料電池は水素やメタンなどの燃料を電気化学的に反応させ直接化学エネルギーを電気エネルギーに変換するため効率が高く、またNOxやSOxなどの大気汚染物質の排出もほとんどないため、次世代の発電システムとして期待されている。しかし電極構造が複雑で実用化は容易ではない。そこで、これまで燃料電池に用いられている平板型ガス電極ではなく、スケールアップが容易な三次元電極を用いた溶融炭酸塩型燃料電池を試作し、その電極特性を調べた。具体的には、直径50mmのアルミナ管三次元電極を製作し、流動電極粒子としてニッケルを、電解質には溶融炭酸塩(Li2CO3:K2CO3=62:38)を、集電体にニッケル板を、対極に白金網を用いて、電気炉で650℃に加熱し、燃料ガスとして水素80%、CO220%のガスを吹き込み流動層電極および固定層電極を形成させ、ポテンショスタットを用いて定電位電解法で電流電圧曲線を測定し、電極特性を調べた。またメタンを直接導入し、内部改質させて電極特性を調べた。その結果、以下の点が明らかになった。 1)固定層(低ガス流速)の場合は、拡散律速であることを示す限界電流が見られ、ガス流速の増大させると分極特性が向上した。 2)流動層(高ガス流速)の場合は、ガス流速の影響をあまり見られず、固定層よりも分極特性は良かった。 3)メタンを直接水素極に導入すると、メタン改質ガスを導入した場合とほぼ同じ分極特性を示し、電極内部でメタンが改質されていることが明らかになった。 以上の知見より、三次元電極を用いた溶融炭酸塩型燃料電池の水素極の電極特性を明らかにし、メタンを直接改質が可能であることを明らかにした。今後、本プロセスの実用化の可能性を追求する計画である。
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