研究概要 |
まず、Pseudomonas cichorii接種による抗菌性化合物の生産能をみた。P.cichoriiを接種したシロイヌナズナをアセトン抽出し、TLC展開後、黒カビの一種であるイネゴマ葉枯れ病菌による抗菌活性テストを行った。その結果、接種後2日で2つの抗菌性スポットが現れ、その内の1つは消失したが、もう一つは5日〜8日でも、強い活性を示した。また、これらのスポットは無接種のものには認められなかった。 接種後5〜8日のサンプルを調整し、アセトン、メタノール抽出物の分離をカラム及び高速液体クロマトにより進め、主ファイトアレキシン11mgを得た。HR-MSより、分子式C_<11>H_8N_2Sであり、UVスペクトルは319,276,216nmに極大吸収を示し、インドール環との他にもクロモフォアがあることが推定された。また、^1H-NMRから、芳香族プロトンのみがみられた。これらのデータから本化合物は、同じアブラナ科直物のCamalinasativaより単離されたcamalexinであると推定され、標品と直接比較する事によりその構造を決定した。 Camalexinは同じインドール系のファイトアレキシンであるが、現在まで単離されたものとは、少し違う特徴を有しており、アブラナ科ファイトアレキシンの代表的化合物brassininとの生合成的関連に興味がもたれる。そこで、Brassininとの関連を確かめるべく過ヨウ素酸によるbrassinin類からの誘導反応を試みたが、現在までのところ、camalexinは得るにいたっていない。また、もう一つの抗菌性化合物は量的問題から、現在までのところ単離にはいたっていない。
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