研究概要 |
ツメガエル・アクチビンAおよびアクチビンB、ツメガエル・フォリスタチンについては、親水性の部域を検討して、アクチビンについてはC末端近く、フォリスタチンについては中央部分で13〜15merのペプチドを化学合成した。これをBSAにコンジュケードしてウサギ抗血清を得て、ペプチドカラムにより抗体を精製した。ツメガエル卵をPFAにより固定して免疫電顕を行ったところ、卵黄顆粒に有意な金コロイドのシグナルが検出された。動物極側、植物極側、背側、腹側でシグナルの密度に大きな差異は見られなかった。これらのシグナルはペプチドによる吸収で消えた。このことは、ツメガエル卵においては、アクチビンとフォリスタチンが卵黄顆粒に存在する可能性を示す。一方、東京大学・浅島研究室の福井らとの共同研究で、ツメガエルの初期胚のHPLCフラクションのEDF活性を測定したところ、3つのピークをもつEDF活性が検出され、リテンションタイムから考えて、ツメガエル初期胚にはアクチビンA,AB,Bの3種類が全て含まれるものと考えられた。また、それらを大きく上回るフォリスタチンの存在が福井より示された。 ツメガエル・レチノイン酸レセプターalphaに対するペプチド抗体も作成された。クリオスタット切片で抗原の局所を調べたとこら、胚全体の核にシグナルが検出され、原腸期の神経外胚葉、陥入した中胚葉部域にやや強いシグナルが見られた。こららの結果から、母性誘導因子、あるいはそのレセプターであるアクチビンとレチノイン酸レセプターは、発生のごく初期の段階ではっきりとした局在をもとものではなく、卵全体に広がって存在していることが考えられる。
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