国際化の時代の到来とともに、わが国の新宗教教団の海外での活動も、布教活動をはじめ、各種の文化活動、ボランティア活動の支緩等、多岐にわたっている。そこで本研究は、そうした活動を総合的に把握するために、わが国の主要な新宗教教団300を対象にアンケート調査をおこなうことを目的にしている。まず質問項目を正確にするために、山口県の天照皇大神宮教や奈良県の天理教、福岡市の晴明教など、海外での活動に熱心な教団を選び出し、聞き取り調査をおこなった。そこで得た知見をもとに質問表を作成して郵送し、現在その回答を待っているところであるが、すでに100を越える教団から回答が寄せられており、来年度はこれを集計、分析することで、これまでほとんど知られていなかったこの分野について、総合的な理解を得る予定である。これまでに明らかになったことは、布教方針や活動地域などの多様さであるが、それを越えて日本の宗教の普遍的性格が存在するか否かを明らかにしていきたい。また新宗教教団の多くが海外でのボランティア活動に熱心であることも明らかになったが、そこにも果たして、ボランティア活動に熱心な欧米の宗教団体との違いがあるか否かを、アンケート結果の分析とともに、聞き取り調査等をおこなうことで考えていく予定である。
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