平成5年度から6年度にかけて、日本の主要な新宗教教団240にたいして質問表を送付し、布教活動をはじめ、文化活動やボランティア活動など、海外での活動内容や方針について質問した。そのうち17教団から回答を得たので、それを図表化し、分析した。一方、そのなかでも特色ある活動をしていると思われる世界救世教や天理教、天照皇大神宮教などについては、本部に足を運んで聞き取り調査を実施した。その結果明らかになった成果は、以下の通りである。 1.日本の新宗教教団は、現在ではかなりの数の信者を海外で獲得しているが(数百万人以上)、その多くはいまだに明確な意図と方針を有するにはいたっていないこと。 2.新宗教教団の布教は、日本人信者が海外勤務や海外移住などの個人的な出来事を契機に行なわれているケースが多く、その結果、人的交流が頻繁なアメリカ合衆国や南米、東南アジアなどでの布教が大部分を占め、未開拓の土地である中国などでの布教は遅れていること。 3.そのなかでは、戦後すぐ教祖が先頭にたって海外布教を開始した天照皇大神宮教や、海外布教に総力をあげて取り組んでいる創価学会、近年になって本部のイニシアチブを重視するようになった天理教や真如苑などが注目されること。 以上の結果を基礎資料として、今後は海外の特定の国々を選び、現地調査を踏まえながらより具体的な調査を実施して、日本の宗教教団が今後海外でどのような発展と挫折を経験すると予測されるかを考えたい。
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