平成5年度から6年度にかけて、日本の主要な新宗教教団240にたいして質問表を送付し、海外での布教活動をはじめ、文化活動やボランティア活動など、海外での具体的な活動内容や方針について質問した。そのうち18教団から回答を得たので、それを図表化し、分析した。一方、そのなかでも特色ある活動をしている世界救世教や天理教、天照皇大神宮教などについては、本部に足を運んで聞き取り調査を実施した。その結果明らかになった成果は、以下の通りである。 1.日本の新宗教教団は、現在では総数でかなりの数の信者を海外で獲得しているが(数百万人)、その多くはいまだに海外での活動の明確な意図と方針を有していないこと。 2.新宗教教団の布教は、日本人信者が海外勤務や海外移住などの個人的な出来事を契機に行なわれているケースが多く、その結果、人的交流が頻繁なアメリカ合衆国や南米、東南アジアでの布教は多いが、未開拓の土地である中国などでの布教は遅れていること。 3.その中では、戦後すぐ教祖が先頭にたって海外布教を開始した天照皇大神宮教や、海外布教に総力をあげて取り組んでいる創価学会、近年本部のイニシアチブを重視するようになった天理教や真如苑などが注目されること。 以上の研究に加え、タイでの現地調査の結果を踏まえることで、日本の新宗教教団の海外での活動についての概観を得るとともに、今後それらがどのような発展と挫折を経験するかを予測するつもりである。
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