研究概要 |
蓮花(1985)は面接法を用いて、対人交通コミュニケーション(roadway interpersonal communication)の基本的な行動様式を把握し、分類を行った。さらに、一連のクラクションを用いた実験室実験により、刺激場面へのクラクション反応を測定した(蓮花、1986,1992)。そして、発信者側の符号化の過程を分析し、運転経験によるコミュニケーションコードの発達過程を調べた。 本実験では、受信者側の解読化のコミュニケーション過程を扱っている。これは同一の合図刺激の理解がドライバーの運転経験によりどのように変化するかを問題にしている。運転場面において時系列で進行する受信者側のコミュニケーション過程を検討する。被験者は、運転初心者群(走行距離1000Km満)が30名、運転経験者群(走行距離2万Km以上)が30名である。ビデオ撮影により対人交通コミュニケーションの行動事例を撮影し、カテゴリー別に整理して、刺激場面(40場面)とした。カテゴリーの基準は、【.encircled1.】チャンネル(ウインカー、ヘッドライト、クラクション)、【.encircled2.】行動類型(右左折、徐行・停止、追い越し等)、【.encircled3.】メッセージ内容(命令、感謝、連絡、不快感)である。実験室で刺激場面をビデオ映像で被験者に提示し、回答カテゴリー表から該当する項目を選択させた。さらに、刺激場面毎に回答の自信度を5段階評定させている。 結果として、刺激場面の意味項目はクラクションの場面のみで初心者と経験者の違いが見られた。自信度については初心者の自信度が全体的に低い結果であった。身振りや方向指示器に対する意味の回答への自信度が高いのに対してクラクションや車両挙動への自信度が低い傾向がある。現在さらなる分析を進めている。
|