(自己申告制による崩芽的研究に係る一般研究(C)で採用された研究課題についての今年度の研究実績の概要) 本研究は、科学研究費・一般研究(C)における「崩芽的研究」として、3年間の予定で計画されたものである。本研究の目的は、〈性〉=セクシュアリティに対して政治社会学的にアプローチするための基礎研究を行うことである。この政治社会学的アプローチで扱う〈性〉とは、通常の理解のような「発見」されるべき自然(科学的)な事実や事象としての「性」のことではなくて、「発明」されるべき社会的構成物としての〈性〉のこと、すなわち〈性〉とは、生物的・生理的・肉体的な「実体」そのものなのではなくて、徹頭徹尾社会的・文化的・歴史的な諸要因の産物なのである。この基礎研究は、こうした〈性〉の観点をもって近代日本社会の〈性〉の現象の政治・権力状態を社会分析するという最終目的のために必ず行う必要のある準備作業的な研究の一環である。より具体的には、研究コーパスを収集・整理し、利用可能な状態にするという研究である。 昨年度までは、本研究目的・実施計画の方向づけをより具体的に確立することを目指して、研究実施を遂行し準備作業を確実に行うための下作業を行なった。本年度は、この準備作業に実質的にとりかかる予定に従って、研究コーパス(資料)を収集し、整理し、利用可能な状態にするという研究作業を主に行い、コーパスの最終整理をおこない、利用可能な状態に向けて報告書にまとめた。
|