両親の一方が日本国籍をもち、一方がアメリカ国籍をもつ国際結婚から生まれた国際児を対象に、数年前に1次調査を行ったが、今回の報告は、2次調査(1990〜1991年)の結果である。 2次調査が、1次調査と同数に日本とアメリカでアンケート用紙の配布・回収を行い、また、沖縄と札幌で面接を3回、奈良でミニ・シンポジウムを開催した。アンケートに関しては、1次調査の有効回収数が79通であったが、今回は237通(国内71通、米国166通)と増加したが、これは、アメリカにおいて3名の協力者があり、彼女らに配布を依頼したことと、回収先をUCLAにしたことにあると思われる。 新国籍法によれば、重国籍者は22歳になる前に国籍選択をしなければならないが、今回の調査のねらいは、もし択一選択をしなければならない場合、どちらの国籍を選ぶか、そして、その決断に影響を及ぼす要因は何であろうか、を探る事であった。面白いことに、1次調査で判明した要因と、ほぼ同じ要因が国籍選択に影響を及ぼすことが分かった。 国籍選択にどのような要因が影響を及ぼすかクロス表を作成してみると、(1)現有国籍、(2)居住割合、(3)現住所、(4)私から父への言葉、(5)私から母への言葉、(6)第1言語、(7)第2言語、(8)文化傾斜、(9)行動傾斜、(10)母親の現国籍が交互性を示した。1次調査で交互性がみられたのは、現住所、第1言語、母から私への言葉であったから、ほぼ同じ結果が出た、と言って良いであろう。 面接調査とミニ・シンポジウムで判明したことは、国際児にとって国籍選択が、非常に重大事であるという考えをもつ者と、選択する国籍は当然のことと決まっている故に、それほど重大事でもないと感じる国際児がいることである。なお、現在は、最終的な統計解析が進められている。
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