本研究は、全国に膨大に残存する民間所蔵文書史料の科学的保存・管理法の確立をめざし、山梨県大月市星野家所蔵文書を中心素材として、(1)安全かつ管理の容易な史料保存設備と保存技術の研究開発、及び(2)史料整理の基本原則に基づいた民間史料整理・目録編成技法の研究開発の二点を目的とするものである。平成6年度は、 (1)について、 (1)平成6年4月から平成7年3月まで1年間にわたり、小型データロガー(自動温湿度計測装置)を使用して星野家母屋・文庫蔵(共に国指定重要文化財)の室内及び各種文書収納箱(桐箱、茶箱、段ボール箱)の環境計測を実施、平成5年度の計測結果と合わせて分析を行ない、蔵や桐箱の保存上の有効性について好結果を得た。 (2)上記の分析結果に基づいて、星野家文書の保存環境改善のため、収納箱の改善(桐箱の導入)及び収納封筒の中性紙化を実施した。 (3)当初の研究計画にあった「民間所蔵史料保存ガイドライン(仮)」の作成は、骨子をまとめたものの成文化は今後の課題となった。 (2)について、 (1)星野家文書のうち明治6年までの史料目録データ約6000件の入力を完成し、さらに約2000件について原文書の補充調査を実施した。 (2)平成5年度及び6年度前半期の入力データとその分析に基づき、パソコンのデータ処理機能を利用して星野家文書の文書群構造の再構成作業を行った。 (3)当初の研究計画にあった「民間所蔵史料整理ガイドライン(仮)」の作成は、骨子をまとめたものの成文化は今後の課題となった。
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