本研究の主要な資料のひとつとなるBerkeley Daily Gazetteをマイクロフィルムで読み(科学研究費で購入したマイクロフィルム・プリンター使用)、その中のコラム“Young Authors' Club"を研究補助の手を借りて複写、整理した。本研究者が既に所有していたマイクロフィルムに関しての複写・収集の作業は全て終了したが、科学研究費で購入した分は到着が遅れた(2月入手)ためほとんど手つかずにある。 しかし、これまでに読んだ上記のマイクロフィルムと夏の現地調査(私費)で集めた資料、それに研究費申請以前からの研究を参考にして、論文を完成させた。“Young Authors' Club"に掲載された子どもたちの作文を通して大戦下のアメリカ社会の変化が示され、また、現地調査で得た資料からは変化しない市民の私的な生活ないしバークレーの階級構造が明らかになり、論文ではこの変化と継続の対比を示した。 現在は、これまでと同じ資料を別の側面(エスニシティ)から検討して論文作成にとりかかっているが、これと並行して、到着したBerkeley Daily Gazetteのマイクロフィルムを読み始めたところである。マイクロフィルム資料の量は膨大であり、読了して資料集「子供の戦争--バークレー、カリフォルニア」(課題)としてまとめるためには、補助の手を借りても少なくとも2、3年はかかりそうである。しかし、資料集編纂の前に論文は何本か完成させたいと考えている。論文および資料集が完成すれば、そのテーマの斬新さと資料のユニークさから、国外も含めたアメリカ合衆国史の研究に大きく貢献することになるはずである。
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