研究課題/領域番号 |
05801063
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水野 眞理 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (40190657)
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研究分担者 |
HARVEY Paul 大阪大学, 言語文化部, 講師 (50209350)
蒲池 美鶴 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80128420)
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キーワード | 大航海時代 / 旅行記 / 異文化 / 植民地 / 天正遺欧使節 / 日英交渉 / 新大陸 / ウォルター・ロ-リ- |
研究概要 |
英国の近代初期における異文化体験を記した旅行記、および渡英日本人の記録を収集し、そこに用いられた修辞、用語、分類法などに着目することによって、背後に隠された心性(mentalite)、「文明」「野蛮」の概念などを掘り起こす、という当研究の目的は段階的に達成されつつある。 水野は、16〜17世紀英国の廷臣・軍人・学者であったWalter Raleghの新大陸探検記をとりあげ、異文化体験の記述は、たとえその文化が記述者にとって始めて遭遇するものであっても、先行する文献の「物語」の再生産という要素を帯びる、というその過程を解明した。また、18世紀以後今世紀にいたる数多くのRalegh研究が、それぞれの時代の政治的背景や心性(mentalite)を反映させながら、さらに「物語」を引き継いできた過程を追いつつある。 蒲池は16世紀の英国人と日本人との接触の最も早い記録をとりあげ、それらの中の史実と考えられている文章の虚構性、虚構を装った文章にかいま見られる事実性を探り、異文化記述における史実と虚構の複雑な関係を指摘した。 ハ-ヴィは新大陸についての英国人の文章の言語分析を通じて、異文化記述の多面性を指摘し、新歴史主義の立場を批判した。 しかし、できるだけ多くの一次資料を収集し、データベース化するという当初の計画は、一次資料の分量がはるかに予測を上回ることが判明し、ごく一部を達成できたにすぎない。データベースの公開までにはまだ行うべき膨大な作業が必要であり、この計画は新たな課題として続行されるべきものと考えられる。
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