研究課題/領域番号 |
05801071
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
小田 淳一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 文部教官 助教授 (10177230)
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研究分担者 |
西尾 哲夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 文部教官 教授 (90221473)
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キーワード | 民話 / データベース / モティーフ / 物語構造 / 計量分析 |
研究概要 |
1.スティス・トンプソンの民話モティーフ索引のうち、民話のモティーフ部分及びモティーフIDを計算機(東京外語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の大型計算機システムHITAC M-640/35)に入力し、民話モティーフ・データベースの基礎データとした。 2.アンドレ・マルティネの言語の二重分節概念を援用して、モティーフ(主辞と述辞から構成される節)をモティーフ記号素とモティーフ意味素に分節するモデルを考案した。これは、モティーフ記号素への分節レベルにおいて、モティーフ=節を民話で語られる具体的な行為や事物(すなわちエティックな構成単位)に分節し、次いでモティーフ記号素をモティーフ意味素(意味特徴)に分節するものである。この結果、従来の民話分析で扱われてきたイ-ミックな構成単位はこのモティーフ意味素群の関係性全体において捉えることが可能となり、本モデルは、エティックな単位の分析による民話の変形論とイ-ミックな単位の分析による民話の形態論の双方を総合する方法の基礎モデルと言えよう。 3.入力された基礎データをもとに、テニエールの行為項概念に基づいて、述辞となる「過程」を表す語(概ね動詞)及び行為項(実詞あるいは実詞等価物)、また行為項に付加される語を、頻度等を勘案して約1100語抽出し、これらをモティーフ記号素とした。 4.上記の手続きを経て、構築される民話モティーフ・データベースの理論構造を決定し、現在は得られたモティーフ記号素をモティーフ意味素に分節する作業を継続中である。また、これと平行して試作されている、民話をレコード単位とするデータベースとの併用による物語構造の総合的分析方法の検討を行った。
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