(1)インタラクション・プログラムを開発するツール(オーサーウエアー・プロフェッショナル)を使って、民事紛争アクション・プログラムを組む。これにより、これまでは、「あるべき手続」「あるべき解決」「あるべき行動」が紛争処理理論では、求められてきたところがあるが、それに対して、つぎつぎと、どのようなインタラクションの応酬がつづくか。その中で、どうすればベタ-かを考える。そういうことが重要であることを明らかにした。 (2)そのための題材として、まず第一に、これまでは、「囚人のゲーム」が紛争シミュレーションの基本パターンと考えられてきたが、それをパソコン上で走らせることによって、そうではないことを明らかにし、「裏切り」を咎める「オフ攻撃」を加えたパターンを基本とした「三択複合反復囚人のゲーム」をプログラム化し、これこそが、ベースに置かれるべきプログラムだとした。 (3)つぎに、それを、つぎのような、現実的・具体的な民事紛争に応用する。 1 遺産分割紛争 2 詐欺の手口・訪問販売 3 貸金事件 4 土地交換事件 (4)紛争行動の選択肢として、コミュニケーション拒否・電話・手紙・弁護士利用・内容証明郵便・調停申立・裁判・仮差押仮処分などから、暴力団利用・自殺などまでも含み込む。 (5)これらの選択肢をどう動員すれば、相手方はどう出るか。これを繰り返していくうちに、相手方パソコンは、ある程度はランダムに、ある程度は戦略的・計算的に出方を返してくる。そのようなゲーム的なやりとりの中に、「時間」「紛争コスト」も当然織り込まれる。それら全体を視野に置いてゲームを展開してゆくと、これまで考えられてきたような、パイのぶん取り合戦とか、足の引っ張り合い・双方破滅といった紛争行動の考え方ではなく、もっと別の「対抗計算」にもとづいて、紛争行動に撃って出ているかが実体験されてくる。
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