1.平成5年8月16日から9月13日まで訪英して、主としてロンドン・バラー(イズリントン、カムデン、ウェストミンスター等)におけるコミュニティ・ケア・プランとその運用について、聞き取りと図書資料の収集により、調査を行った。これによって、(1)地域福祉計画策定の手法と手続き、(2)地域における福祉ニーズの測定手続き、(3)施設サービスの基準と監査、(4)苦情処理に関するイギリスの法制とその運用について、新たな知見が得られた。 2.一方、わが国では、平成5年10月から同6年3月にかけて、全国的に見て特色のある市町村老人保健福祉計画の事例(たとえば神奈川県川崎市、大阪市、福島県会津若松市、長野県諏訪市、奈良県大和郡山市、長野県真田町、奈良県〓麻町、福島県熱塩加納村および福島県内の数市町村における老人保健福祉計画等)について、聞き取りと資料収集により、調査を行い、(1)老人保険福祉計画策定の手続き、(2)地域ニーズの測定指標と測定手続き、(3)施設および在宅サービスの目標量、および(4)サービス供給体制の整備計画等に関して研究の進展があった。 3.以上の調査研究の進展によって、当初の研究目的どおり、イギリスの総合的な良質保障システム(quality assurance system)に関する新資料が得られた。これは地域福祉におけるクォーリティ・コントロール方式の構築にとって手掛りとなるものである。他方、わが国の老人保健福祉計画は、平成5年度末において策定が終えられたばかりのところであり、その実際の運用は今後にまたなければならない。のみならず、策定された計画はサービスの量的整備に重点が置かれており、したがってサービスの質がどのように維持・向上されていくかは平成5年度の調査では得られず、引続き平成6年度に実態を調査する必要がある。
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