(1)本研究は、グローバルエコノミーと民族の問題の関係を論ずる視点から、さしあたってハプスブルク帝国解体の歴史的経験を考察するものである。この点中欧の復活がうたわれている今日、帝国の民族問題の解決に真摯に取り組んだ、オットー・バウアーらオーストリア社会民主党の理論家たちの構想の重要性が本研究を通して改めて確認された。 (2)本課題を果たすために、洋書、和書の購入、北海道大学、東京大学等の付属図書館並びに学部図書さらに国家図書館を中心に、不十分とはいえ文献資料の収集に努めた。 (3)中京大学の丸山敬一教授をはじめ、民族問題の専門的研究者と情報交換と交流を深めた。また、平成6年3月末の民族問題の研究交流会では、本研究の成果として「オットー・バウアーの民族理論」の研究発表を予定している。 (4)本研究の成果として、平成6年10月に刊行予定の拙著『民族問題の理論と思想』(平成5年刊行を目指したが計画の変更上平成6年に延期したもの)の草稿を作成した。この著書の出版に、今回の科学研究費補助金の助成は、まことに役立ったと言える。
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