昨年度の研究を踏まえて、今年度においては以下の点を重点的に研究した。 1 第一勧業銀行が所蔵する農工銀行経営資料の存在を確認するための調査を2回、延日数4日間かけて行なった。これまでの調査で、勧業銀行が作成した「合併のための調査資料報告」及それを作成するための資料、合併時に農銀が作成した「合併引継表」などの資料が少なくとも380点(綴りの冊数)あることを確認した。 2 昨年度に引き続き、今年度も大都市所在の農銀などを中心に、資料の撮影収集を行なうとともに、さらにネガフイルムの形から直接閲覧できる状態にするために、リーダー・プリンターによる焼付け作業と資料整理に力を注いだ。また、昨年度に収集した土地登記簿の整理を行なった。 3 明治末期以降における農工銀行の不動産銀行化の内実を明らかにするために、1910・20年代では尾三農銀を、1930年代では兵庫農銀を中心に、それぞれ大口貸出分析を試みた。 4 第4次合併農銀の福島、尾三(愛知県)、第3次合併農銀の大分、滋賀、第2次合併農銀の岩手の各農銀は1920年代の早い時期に合併の動きがあった。この点は従来あまり知られていないことであり、合併に至らなかった事情にについて検討した。 今後においては収集した豊富な農銀資料を整理・分析し、順次、発表して行く予定である。
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