平成6年度は実証分析を行った。 2つのタイプ(財務モデルと指数モデル)について、銀行株価を説明する線型回帰モデルのパラメータ推定・検定をSASのOLSにより実施した。 近年、日本の銀行を取り巻く環境変化としてBIS規制が強く意識され、特に都銀の株主構造として、貸付先を株主にするという変化がみられ、条列やメインバンクの関係を超えた広い層に安定持主求めたことが伺える。その結果、市場で取引される都銀の浮動株比率は10%以下になっており、株価インデックスに採用されている値嵩株としての銀行株の売買量は大きい。また、しばしばクロスの対象としても都銀株は用いられている。 われわれが実施した1990〜1994年 年次データの株価モデルでは配当や有価証券含み益が説明力をもっている。有価証券含み益との関連は桜井や国村の結果とも矛盾しない。一方日次データによる1994年の株価は、業種平均、日経225、同先物債券先物との関連が示された。また特に株価指数との相関が高いグループ、債券との相関が高いグループに分かれる結果が示された。グループ特性は配当や、インデックス株用銘柄か否かによって分かれるように見受けられる。 残された研究は持合いや、貸付先株主の違いで、銀行株価が判別されるか否か、判別関数を用いて試行してみることである。
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