当該研究プロジェクトは、「会計とイメージ」に関する研究を主眼としている。その取り上げ方は、3人の共同研究者によって異なっているが、まず中野は、会計以外の文献等に現れる会計に関する記述データを本年度は収集した。特に各時代の文学の中に現れる会計に関する記述から、各時代の会計に対するイメージを確定している段階である。それは会計史を専門にしてきた中野にとって、これまでの研究成果を裏付けるものとなろう。高須は、会計データによって作り出される企業集団のイメージを研究している。特にアメリカの連結財務諸表の歴史的変遷に伴って、企業がどのような企業集団をイメージしてきたかが、検討されている。山地は、アニュアル・レポート(特にアメリカ)に現れる写真のデータ・ベースを形成しつつあり、各企業の公表する会計データと、写真との関係から企業が社会に対して作り出そうとしている企業イメージを確定している段階である。3人の研究とも大量のデータ処理を必要とするので、長期的な研究になると考えられる。 来年度は、3者が各自の研究用のデータベースを一層充実させ、本年度に仮説的に得た結論をより補完するものにしたい。それによってイメージ情報の重要性を強調したい。
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