研究課題/領域番号 |
05803015
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中野 常男 神戸大学, 経営学部, 教授 (60093522)
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研究分担者 |
高須 敦夫 近畿大学, 商経学部, 教授 (70148732)
山地 秀俊 神戸大学, 経済経営研究科, 助教授 (40127410)
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キーワード | アニュアル・レポート / イメージ / 写真 / 宥和化 / 映像 / パブリック・イメージ |
研究概要 |
今年度は、これまでの2年間の研究をまとめる段階に至った。 まず、アメリカの企業が公表するアニュアル・レポートの中に現われる写真のデータ・ベース化を通して、アメリカ企業の用いる写真には図像解釈学的にいくつかのパターンがあることがわかった。それも企業経営史的な課題と写真技術的要請の2つの要因に規定されながら、企業は宥和化的視角から、想定される読者に応じて各ジャーナルに掲載される写真を使い分けていた。しかも初期には写真が最大のイメージ創造手段であったので、あるパターンの写真を多用することによって、潜在的に労働者等の企業関係者の行動を規定することが可能になったのである。今日ではその機能は、ビデオやテレビに移っていると考えられ、写真史的研究から映像論的研究へと視角の拡大が必要であることが明確になった。 また歴史的にかなり長いタイム・スパンをとって小説や戯曲に現われた会計観を検討することによって、会計の社会における位置付けが、物語に出てくるイメージから判断して徐々にではあるが、上昇していることがわかった。特にここ20-30年における会計の社会におけるイメージの向上は、資本主義の発展に伴う巨大企業組織の出現によって、会計による巨大組織の管理が社会的に意義あるものと徐々に一般大衆の間に広まっていくことの反映であると考えられる。 以上のように、本年度の研究で、数値データを提供する会計に対して、これまでとはまったく異なった「イメージ」という観点からのアプローチがかなり有効であることが確認され、一層の拡大された研究の必要性が認識された。
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