研究概要 |
ストレンジネスS=-1,-2のハイパー核状態の生成と構造及び崩壊過程と原子核の深部孔状態(deep hole states)の内的な相関関係を明らかにし、両者の研究の新たなる発展を計ることが本研究の目的である。2年計画の初年度(平成5年度)における研究実績の主なものは次の通りである。 (i)^6Li及び^7Liを標的核とする(K^-,π^-)反応によって^6_ΛLi及び^7_ΛLiが生成されるが、特に無反跳反応実験で励起される高励起^6_ΛLi及び^7_ΛLi状態に(s^<-1>_N s_Λ)状態が見出されている。この励起状態はd+t+Λ及び^3He+t+Λクラスター模型で記述される。深部孔状態^5Li^*(s^<-1>_N),^6Li^*(s^<-1>_N)のd+t及び^3He+tによる定量的記述と(K^-,π^-)励起関数の定量的導出が成功的に行われた。(論文1,2) (ii)(K^-,K^+)反応によるダブルΛ核生成機構についての解明が標的核^<12>C及び^<16>Oに対して定量的に行われた。^<12>C(K^-,K^+)Ξ^--^<11>B(〓^<12>_ΞBe)のΞ^-ハイパー核中間状態を経由して^<12>_<ΛΛ>Be^*の高励起状態が形成される確率の理論的解析である。この研究で、上記^<12>_ΞBe→^<12>_<ΛΛ>Be^*変換過程において深部軌道s_pの陽子pとΞ^-とがΛΛに変換される過程が、最も大きな確率で生じることが定量的に明確にされた。既ち深部陽子孔s^<-1>_pの芯核状態を有する^<12>_<ΛΛ>Be^*の生成が最も大きな確率で生成されることが明らかにされた。(論文4,5) (iii)深部孔(s^<-1>_p)励起を伴う高励起^<12>_<ΛΛ>Be^*及び^<16>_<ΛΛ>C^*からハイパー核クラスター分解(フラグメンテーション)における禁止則の実証及び禁止されない分解への分光学因子の定量的導出が行われた。高励起芯核(深部s^<-1>_p)状態からの核クラスター分解における、空間対称性に基づく禁止則及び分光学因子の導出とそれらのΛハイパー核及びΛΛハイパー核高励起状態の場合への適用である。これによってどのような核種及びハイパー核種が生成されうるか又その生成される相対比はどの程度のものであるかを理解することが可能となった。(論文3,6)
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