研究概要 |
最終年度の研究活動は,次の2点に重点が置かれた。1.前年度に行った3項目の研究((1),芯核の深部孔状態に1個また2個の∧Λ粒子が加わったハイパー核状態(A≦16)の生成機構の研究,(2),種々のクラスター崩壊の分光学係数との系統的導出,(3),全てのクラスター崩壊の部分崩壊幅の研究)をふまえ,芯核の孔状態からの崩壊過程,∧Λ粒子が一つ或は二つつけ加わったSingle-又Double-∧Λハイパー核の崩壊過程の研究を総合的に展開する。2.前年度と本年度の研究成果を合わせて分析と吟味を行い″Deep s-hole excitaionを伴う変換過程とその芯核及びおよびDouble∧Λハイパー核状態からの崩壊過程″の全局的な理解をうる。 第1点については,全ての2体崩壊チャンネルの分光学因子及び換算振幅の導出に成功し,^4He及びそれより重い核クラスター崩壊及びそれらに∧Λ粒子が加わった∧Λハイパー核クラスター崩壊は 禁止されることを示すと共に,他の許容チャンネル全ての部分崩壊巾の解析に成功した。これによって,どのようなDouble-∧Λハイパー核,single∧Λハイパー核が生成されうるかの相対比を得ることに成功した。又,芯核のs-hole状態の全崩壊巾についての結果と,実験的に(p,2p)の準弾性反応から得られた全巾との比較によって,軽い核(A≦16)においての全巾の大半は分散巾でなく崩壊巾であろうとの新たな重要な知見がえられた。第2点についたは,その成果を一連の研究論文にまとめあげている。これらの研究を通じ,理論面では核子ハイペロン(ΞN)及びハイペロン間相互作用(∧Λ∧Λ,∧Λ∧Λ-ΞN)と,ストレンジネス移行(K^-,K^+)反応によるハイパー核生成過程及びその崩壊過程とがどのように絡まっているかを明らかにすると共に,KEKとBNLの(K^-,K^+)反応からどの程度のどのような核種のDouble-∧Λハイパー核種が生成されるかの理論的予想を示すことができた。
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