(1)数種類の光電子増陪管(PM)に対して、高い計数時における増幅率の変化を測定し、ほとんどのPMで1MHz以上の繰り返しの光パルスに対して増幅率の減少を確認した。 (2)1MHzを越える繰り返しの光パルスに対応するため、ダイノードの下段に直接高圧電源を繋ぎ、電圧を印可(ブ-スト)する事によって、増幅率の低下をある程度抑える事ができるが、この場合、ダイノード最終段をブ-ストしてもほとんど効果はなく、むしろ最終段より1〜2段、上段のダイノードをブ-ストしてやるだけで十分な効果が認められた。(3)光電子増倍管(PM)の高い計数時における増幅率の低下はPMの空間電流に強く依存し、数nsec程度のパルス的な電流値によらないことが確かめられた。つまり、PMは短い時間内(〜10nsec)に複数の光パルスが入射しても1秒当たりの計数率が低く抑えられれば各光パルスに対しての増幅率の低下を招かないことが確かめられた。極端な場合、1〜2nsec時間差で入射した2つの光パルスでも正常な増幅率をもって検出できることが判った。 (4)カソードと第1ダイノード間にグリッドを持つゲイト型PMを用いて、〜10μsecの幅のゲートを10^3/secの頻度で開き、10MHzの光パルスに対する応答を観測したところゲートが完全に開ききった期間については全く増幅度の低下が生じないことが確かめられた。 (5)上記(3)(4)の成果によって、3x10^8/sec程度の高エネルギービームの絶対強度をサンプリング計数によって直接測定することができると考えられ、新しいタイプのビーム強度モニターの開発についてかなり確実な見通しがついた。 (6)このビーム強度モニターは高エネルギー研究所の陽子シンクロトロンにおいて加速が計画されている偏極重陽子ビームの強度モニターとして開発する事になっている。
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