逆ベータ崩壊(nu、e^-)反応のQ値が非常に小さい原子核^<127>Iを100%含むNaI検出器は、太陽ニュートリノの検出器として応用できる潜在能力を持っている。この萌芽的研究では、NaIをファイバー状検出器にして、軌跡測定ができる可能性があるかどうかを調べることが第一目的である。 1.断面5mm角のNaI(Tl)スティックを試作。当初バイクロン社のポリシン(polyscin)を試みたが、5mm角のスティック状の制作は現状では困難。堀場製作所で5mm角50mm長のNaI制作が可能。しかし現状ではNaIをスティック状にするには、機械加工しなければならないので、最も細くて3mm径であることが判った。長さに関しても200mmが最長であるが歩留りが悪く高価になる。 2.各スティックをテフロン反射材で巻いた束(16本)を2"phiのアルミニウムハウジングに気密封入し潮解性克服。スティック間の光学的絶縁は達成した。ハウジングのガラス窓を光学ファイバー導管状のプレートにする課題は現在開発中。 3.NaIユニットを現有のPSPMにマウント。手持ちの光電子倍増管は、通常の素材を用いた天然放射能含有の多いものであり、バックグラウンドに関しての限界測定は行なえないが16本のスティック間での反同時計数で大幅に減少。 4.現在IITとCAMAC/ADC.TDCで位置とエネルギー分解能測定。 5.NaIをファイバー状にして軌跡検出器にするという試みはまだ他では一切行なわれていないが、今回の研究で現状の技術では1mmphi以下のファイバーシンチレーター製作は非常に難しいが、3mm角または3mmphiスティック状NaIは可能であることがわかった。今後長さを200mm以上、径を2mm以下にして器強度を保てばニュートリノ検出器として可能。
|