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1993 年度 実績報告書

競合する相互作用から生ずるプロトングラス相における量子二準位系

研究課題

研究課題/領域番号 05804015
研究機関名古屋大学

研究代表者

三浦 裕一  名古屋大学, 理学部, 助手 (30175608)

研究分担者 馬宮 孝好  名古屋大学, 理学部, 教授 (20022600)
キーワード量子二準位系 / グラス相 / 水素結合型誘電体 / 低温誘電率測定
研究概要

水素結合型の強誘電体RbH_2PO_4(RDP)と反強誘電体NH_4H_2PO_4(ADP)の混晶は、ADPの濃度をxとして0.22<x<0.80の範囲でどちらの秩序相へも転移できず電気双極子が任意の方向へ凍結した特殊なグラス相(プロトングラス相)に転移する。誘電率は低温で量子二準位系に特有な測定周波数に依存した極小値を示し、水素原子の共鳴トンネル現象が起きていることがわかった。0.025Kまでの誘電率と誘電損失の測定から以下のことが明らかになった。
1.測定周波数f=30kHzのときのx=0.30,0.50,及び0.75の試料における誘電率を比較した。
x=0.30の試料は強誘電的相互作用が反強誘電的相互作用より優勢の領域のグラス相である。その極小値を与える温度T_<MIN>はxに依存しており、xが0.75,から0.30へと減少するにつれ0.070Kから0.040Kへと低化が見られた。
2.f=30kHzのときのx=0.30,0.50,及び0.75の試料における誘電損失を比較した。誘電損失は量子二準位系からフォノンへの緩和時間の関数として表わされる。これはちょうどNMRにおけるスピン-格子緩和時間に対応するものである。誘電損失は測定周波数に依存した緩やかな極大を示し、濃度xにも依存することがわかった。30kHzにおいてxが0.75から0.30に減少するにつれ極大値を与える温度は約0.3Kから0.2Kへと低下している。
以上のような誘電率の極小値と誘電損失の極大値を与える温度の低下は量子二準位系のフォノンへの緩和時間がADP濃度の低下につれ減少していることを示している。これは強誘電的相互作用の優勢なグラス相において量子二準位系とフォノンとのカップリングを強くする何らかの機構が存在することを示している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Y.Miura: "The dielectric anomaly in the proton glass phase of RDP(1-x)-ADP(x) below 1 K" Physica B. 194&195(in press). (1994)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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