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1993 年度 実績報告書

新規な立体保護場を利用した安定な14族金属元素二価化学種の合成とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 05804037
研究機関東京大学

研究代表者

時任 宣博  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90197864)

キーワード立体保護 / 14族金属元素 / 原子価欠損型活性種 / 速度論的安定化 / ケイ素-ケイ素二重結合化合物 / シリレン / ジシレン / カルコゲン
研究概要

本研究では、2,4,6-トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]フェニル基(Tb基)を新規な立体保護基として用い、Tb(Ar)M:(M=Si,Ge,Sn,Pb)のような14族金属元素の原子価欠損型活性種の速度論的安定化を行い、これを利用した新規な含14族金属元素有機化合物の合成への応用を検討した。
1)まず、出発物質として二価の金属ハロゲン化物が入手容易なゲルマニウム、スズ、鉛の系については、TbBrから容易に調製可能なTbLiに対し、GeI_2、SnCl_2、PbCl_2を作用させることでTb(X)M:X=Cl or I)に変換した後、次いでこの中間体にメシチルリチウムや2,4,6-トリイソプロピルフェニルリチウム等の嵩高い他のアリールリチウムを反応させることで、いずれの系においても対応する金属二価化学種[Tb(Ar)M:]が溶液中安定に合成できることを見出した。
2)ケイ素の系においては、SiF_4とTbLiからTbSiF_3より数段階をへて合成したTb(Ar)SiX_2を基質に用い、これとリチウムナフタレニドとの反応によりTb(Ar)Si:の生成を検討し、種々の新規構造を有する有機ケイ素化合物の合成に応用した。中でも、これまでにない高い安定性を有するケイ素-ケイ素二重結合化合物であるジシレン[Tb(Mes)Si=SiTb(Mes)](Mes=メシチル基)の合成単離、構造解析を行うと共に、ジシレンへの熱的なシリレンの解離反応を初めて見出したのは、本研究で得られた大きな成果の一つである。
3)また、上記の反応により合成した14族金属元素二価化学種について、各種スペクトルの測定による系統的な性質の比較を行うと共に、エピカルコゲニド類や単体カルコゲンとの反応を詳細に検討することで、対応する14族金属元素-カルコゲン元素二重結合化合物を安定に合成することに成功しそれらの特異な反応性を明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] N.Tokitoh: "The First Stable Stannanethione in Solution Derived from a Kinetically Stabilized Diarylstannylene" J.Am.Chem.Soc.115. 2065-2066 (1993)

  • [文献書誌] K.Shibata: "Formation and Reactions of a Kinetically Stabilized Diarylplumbylene" Tetrahedron Lett.34. 1495-1498 (1993)

  • [文献書誌] N.Tokitoh: "The First Stable 1,2-Thiastannete and 1,2-Selenastannete:their Synethsis and Crystal Structures" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1993. 407-409 (1993)

  • [文献書誌] Y.Matsuhashi: "Formation and Reactions of Stannanethiones and Stannaneselones" Organometallics. 12. 2573-2583 (1993)

  • [文献書誌] N.Tokitoh: "Synthesis and Crystal Structure of the First Stable Diarygermanethione" J.Am.Chem.Soc.115. 8855-8856 (1993)

  • [文献書誌] N.Tokitoh: "Synthesis,Structure,and Reactivity of Extremely Hindered Disilenes:The First Example of Thermal Dissociation of a Disilene into a Silylene" J.Am.Chem.Soc.115. 10428-10429 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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